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過去問13 障害者福祉の歴史(全ては障害児が成人してから始まった)

過去問365

POINT1 障害者基本法は障害福祉の理念法
POINT2 障害福祉対象の普遍化(3障害一元化+難病)
POINT3 障害者権利条約の批准に向けて

第23回 問題13

障害者制度の発展過程に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 昭和45年心身障害者対策基本法が施行され、障害者福祉制度は急激に発展し、障害種別による施設入所施策の強化の方向性が強く示された。
2 「国連・障害者の十年」は、我が国の障害者福祉制度に大きな影響を与え、その結果、重症心身障害児施設が制度化された。
3 昭和59年の宇都宮病院事件は、病院における非人道的な処遇が国際的にも注目され、昭和62年の精神衛生法の成立に影響を与えた。
4 平成2年の福祉関係八法改正により、身体障害者福祉行政について、在宅福祉と施設福祉の市町村への一元化が図られた。
5 平成12年の社会福祉事業法等の改正により、障害者福祉制度に支援費制度が導入され、身体障害、知的障害、精神障害の3障害の制度格差が解消された。

解答

1,心身障害者対策基本法は1970年施行。「障害者基本法」の元となる法律だが、内容は薄い。
2,「国連・障害者の十年」は1983年~。障害者に関する世界行動計画を策定。本文との関連なし。
3,「箸で移す」1984年 宇都宮病院事件。「食わないホッケ」1987年 精神保健法。
4,○ 福祉八法改正で身体障害と高齢者福祉の市町村への権限移譲される。
5,2003年 支援費制度。3障害一元化は2005年の障害者自立支援法。 

第30回 問題57

障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 児童福祉施設入所中に18歳以上となる肢体不自由者が増加する問題に対応するため、身体障害者福祉法が制定された。
2 学生や主婦で任意加入期間中に国民年金制度に加入していなかったために無年金になった障害者を対象に、障害基礎年金制度が創設された。
3 支援費制度の実施により、身体障害者、知的障害者、障害児のサービスについて、利用契約制度が導入された。
4 障害者の権利に関する条約を批准するため、同条約の医学モデルの考え方を踏まえて、障害者基本法等の障害者の定義が見直された。
5 「障害者総合支援法」の施行により、同法による障害者の範囲に発達障害者が新たに含まれた。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解答

1,問題の制度は、精神薄弱者法の事。
2,問題の制度は、特別障害給付金制度の事。
3,○
4,医学モデルではなく、社会モデル。
5,障害者総合支援法で新たに含まれたのは、難病者。

第29回 問題57

2005年(平成17年)に制定された障害者自立支援法の内容として、正しいものを1つ選びなさい。
1 各法律に分かれていた障害者施策を、身体障害、知的障害、精神障害だけでなく難病も含めて一本化した。
2 既存の障害者施設サービスを、日中活動の場と生活の場に分離した。
3 新たな就労支援事業として、重度身体障害者授産施設を創設した。
4 対象者の障害程度区分にかかわらず、全てのサービスを利用できるようにした。
5 安定的な財源確保のため、介護保険財源から調整交付金制度を導入した

解答

1,障害者総合支援法の内容。
2,○ 職住分離は、障害者自立支援法の内容である。
3,重度身体障害者授産施設はもっと前に出来ている。
4,区分認定によって使えるサービスの内容や量は変わる。
5,介護保険財政と、障害者制度の財源調整は無い。

まとめ

精神障害者の入院形態については下記フロー図で確認できる。
任意入院
本人の同意による入院。家族や精神保健指定医(以降、指定医)の同意は不要。
書面による本人の同意確認が必要。
本人の申し出による退院は可能であるが、指定医による72時間の退院制限が可能。特定医師の場合は12時間の退院制限が可能。

医療保護入院
本人同意なし。家族等の同意による入院。
「家族等」とは、配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人、該当者がいない場合は市町村長でも可。10日以内に知事に報告が必要。

応急入院
応急的な一時入院。原則72時間に限られる(特定医師の場合は12時間)。
本人の同意、及び家族の同意は不要ないが、直ちに知事に報告しなければならない。また、知事指定の医療機関のみ入院可能。

④措置入院
自傷・他害の恐れがある場合。指定医2人の診察が必要。国立・県立程度の指定医療機関に限る。

⑤緊急措置入院
著しく自傷、他害の恐れがある場合。72時間以内に限る。

障害者制度の普遍化

障害関係法令の普遍化の流れを下表に示す。

1949年 身体障害者福祉法
戦後まもなく、GHQ支配下の下、傷痍軍人を対象とした身体障害者福祉法が成立する。障害者福祉法の最初の法律

1960年 精神薄弱者福祉法
当時、知的障害者は児童福祉法や、生活保護法などによる施設で生活するしか方法がなかったが、18歳以上になると施設を退所せねばならず、行き場所を失った知的障害者の親達が施設を作る為の活動を行い成立した法律。現在の「全国手をつなぐ育成会連合会」の前身。

1960年 身体障害者雇用促進法
傷痍軍人の就労の促進の為に作られた法律。

1970年 心身障害者対策基本法
1993年の身体障害者福祉法の前身。身体障害と知的障害を統一させた法律であるが、精神障害は含まれていなかった。また、法律による制度などの拘束力も無かった。

1987年 障害者雇用促進法
1960年の身体障害者雇用促進法が改定。この制度によって地域に知的障害者の生活の場(グループホーム)を作り出す契機となった。

1993年 障害者基本法
1970年の心身障害者対策基本法が改正され成立する。障害者福祉の根幹を規定する理念法。この時、初めて精神障害者が法律によって規定された。

1998年 知的障害者福祉法
1960年の精神薄弱者福祉法の改正により成立。

2003年 支援費制度
いわゆる「措置から契約へ」移行され、介護保険制度に加え、障害サービスも契約制度と応益負担を取り入れましたが、障害当事者からの反対も多く、3年で障害者自立支援法へと改正される。

2006年 障害者自立支援制度
ここでは入所施設の生活サービスを「日中活動の場」と「住まいの場」に分け、施設サービスと在宅福祉サービスを選べるようになった。いわゆる「職住分離」を行った。また、これまでの身体、知的、精神の縦割りサービスを改正し、障害に関係なくサービスが利用できる制度、いわゆる「3障害一元化(発達障害は精神障害に含まれる)」を図った。

2012年 障害者総合支援法
「3障害一元化に加え」、難病も支援対象となり障害程度区分は障害支援区分へと変わる。
その他、ケアホームのグループホーム一元化などを実施。

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