ソーシャルワークの実践で役立つ面接技法を学びます。実践で役立つ内容で国家試験にも頻出です。
1,面接法
①構造化面接:事前に質問内容や面接の順序などを明確に決めておいて、そのとおりに面接する形
②非構造化面接:事前に面接の内容を全く決めず、面接場面で臨機応変に面接する形
③半構造化面接:構造化面接と非構造化面接の中間的な形(ある程度事前に面接内容を決めておいて臨機応変に)。注意!✖「構造化と非構造化の問題を半分ずつ入れる」
④深層面接:市場調査に用いられる。対象者の生活背景、態度、性格など複雑な心的過程を考慮し、心の深層にある「ホンネ」の部分を探り出します。
⑤生活場面面接:面接室ではなく実生活場面(食堂、廊下、居室など)で面接を行う。
⑥動機づけ面接:動機づけ面接は来談者中心療法などを用いて本人の動機づけを促す心理療法的な面接です。クライエントの中にある矛盾や相反する複雑な感情(アンビバレントな感情)を解消していきます。
2,面接技法
ソーシャルワークの面接技法については、まずは「基本的傾聴の連鎖」と呼ばれる6種類の技法を知ってください。
<基本的傾聴の連鎖>
①閉ざされた質問:例えば「あなたの性別は?」「ご兄弟はいますか?」「介護保険の申請はしていますか?」など、「はい、いいえ」で答えられるような質問など、限定された答えを求める質問です。
②開かれた質問:クライエントの自由で主体的な発言を促す、答えが「はい、いいえ」などで限定されない質問のことです。例えば「どのようなご相談ですか?」「あなたの趣味は?」など。
③励まし:励ましは、文字通り、励ますことです。励ましすぎるとだめなので、少しだけ。
④言い換え:言い換えは、クライエントの発言を言い換えて伝えることです。
⑤要約:要約は、面接を終わる時などに面接内容の要点を整理して伝えることです。
⑥感情の反映:クライエントの感情を捉えて伝え返すこと、相手の感情に気付いて「仕事に失敗して落ち込んでいるのですね」などと伝えることです。
3,マイクロ技法の階層表
先ほど見て来た面接技法の次の段階として、自己開示、明確化、直面化などがあり、これらは少しクライエントにストレスがかかります。
①明確化:クライエントがうまく言葉で表現できないことをワーカーが言語化して伝えることです。
②直面化:クライエントの言葉と感情や行動の不一致などの矛盾点を指摘し、クライエントの内面の葛藤に直面させる技法です。課題を明確にして課題と向き合えるように支援します。
③自己開示:ワーカー自身の内面をクライエントにさらけ出すことです。
これらの技法をヒエラルキーとして階層表にまとめたものが、以下のマイクロ技法の階層表です。
1960 年代、アレン・E・アイビイ(Ivey,A)は面接技法を統合したマイクロカウンセリング(マイクロ技法)を開発しました。合格本 共通P-307
最下層…コミュニケーションの基礎となる「かかわり行動」。視線、ジェスチャー、声の質などのコミュニケーションの基本です。
第2下層…その上「基本的かかわり技法」が土台(上図の赤色部分)。
第3下層…「積極技法」解釈、自己開示、指示、助言、情報提供など。
上層…対決(直面化)などの技法が上位になります(上図の青色部分)。
基本的傾聴の連鎖を含む「基本的かかわり技法」が土台となり、その上に「積極技法」などのハイレベルな技法がある、と覚えてください。
第31 回 問題89
調査方法としての面接法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 非構造化面接では、調査者が事前に定めた質問項目の順序で調査を進める。
2 半構造化面接では、準備した質問項目のうち半数を質問する。
3 非構造化面接では、通常、回答の選択肢を印刷した回答票を提示して調査を進める。
4 構造化面接では、事前に準備をせず、調査対象者が自由に語りやすいように調査を進める。
5 半構造化面接では、面接中に新たな質問項目を追加することがある。
【解説】
1,✕ 構造化面接の内容です。
2,✕ 構造化面接に一部、非構造化面接を加える事で問題の半数と言う意味ではなし。
3,✕ 非構造化面接はフリーな用紙等を利用して、解答者が自由な発想で解答出来る様に工夫されている。
4,✕ 非構造化面接の内容です。
5,○ 半構造化面接では、フォーマルな構造化面接の技法加え、解答中に質問を追加するなど、自由な発想を取り入れる事がある。
第29 回 問題108
相談援助のための面接に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 閉ざされた質問は、クライエントが自分の考えや気持ちを表現できるように促すために用いる。
2 要約とは、クライエントの言葉をそのまま繰り返し、対話を促すことである。
3 感情の反映とは、クライエントの感情や態度に関係なく、ワーカー自身の感情を伝えることである。
4 沈黙場面では、クライエントの混乱が沈黙の第一の理由と捉え、ワーカーが指示的に関わる。
5 非言語的な表現の観察においては、クライエントのアンビバレントな感情を理解する。
【解説】
1,✕ 閉ざされた質問は、クローズド・クエスチョンと言い、はいや、いいえで答えられる質問の事で、決められた質問内容の可否を問う場合などに利用する。
2,✕ 要約とは、クライエントの発する言葉に対し、内容を分かり易く要約して理解を促す方法です。
3,✕ 感情の反映とは、クライエントの感情に対して、ワーカーがその感情を受け取り、気持ちを言葉に変えてクライエントに伝える事。
4,✕ 沈黙場面でも、クライエントが自らの考えをまとめようと考えていたり、感情に浸ったりしている大切な時間なので、出来るだけワーカーは答えを急がせない、発する声を待つ態度が必要。
5,○ 非言語的な表情を観察する場合は、クライエントの葛藤する感情も大切な情報としてかかわる。
第30 回 問題108
事例を読んで、Q 市社会福祉協議会の A 社会福祉士の用いた面接技法を示すものとして、正しいものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
Q 市社会福祉協議会に、一人暮らしのB さん(42 歳、男性)が生活が苦しいと相談に訪れた。B さんは20 代後半まで正規就労していたが、体調不良により離職した。それ以来、不安定な就労が続いている。「親には迷惑を掛けたくないし、行政のお世話になるのも気が引ける・・・」と黙り込むB さんに、A社会福祉士は、「どうにもならなくて、おつらいのですね」と伝えた。
1 開かれた質問
2 直面化
3 自己開示
4 対決
5 感情の反映
【解説】
5,○ クライエントの発言「親には迷惑を掛けたくないし、行政のお世話になるのも気が引ける・・・」との話しから、ワーカーは「どうにもならなくて、おつらいのですね」と返しています。クライエントの感情の吐露に対して、その感情を受け入れた上で、クライエントのアンビバレントな感情に対して、返事をしています。ですので、「5」の感情の反映になります。
第31 回 問題108
次の記述のうち、アイビイ(Ivey,A)のマイクロ技法の基礎となっている「基本的かかわり技法」として、最も適切なも
のを1つ選びなさい。
1 クライエントにソーシャルワーカー自身の経験を開示する。
2 クライエントに活用可能な資源の情報を提供する。
3 クライエントに特定の行動を行うように指示する。
4 クライエントの言葉を言い換えてクライエントに返す。
5 クライエントの言葉で矛盾する点を指摘する。
【解説】
アイビィのマイクロ技法に関する問題です。
「基本的かかわり技法」
ゴロ➡海兵隊、ハゲてもいいか、ようやく判明。
開かれた質問、閉ざされた質問、励まし、言い換え、要約、反映
「積極技法」
ゴロ➡開会条件、撤去の指示
解釈、自己開示、助言、情報提供、指示
であるので、問題に戻ると、
1,✕ 自己開示
2,✕ 情報提供
3,✕ 指示
4,○ 言い換え
5,✕ 矛盾の指摘
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