アメリカ精神医学会から出版された書籍で、精神疾患の症状について22の疾病に分けたもので、それを基に、精神科Drが診断の目安として操作的診断基準を採用している。
PDFにまとめました。下記、リンクからダウンロードが出来ます。
DSM-5キーワード別・PDFダウンロード
DSM-5まとめ・PDFダウンロードver2
※赤字は過去問題から引用しました。青地は重要事項です。(PDF版は3枚シート)
神経発達症群/神経発達障害群
1)知的能力障害(知的障害) →軽度・中等度・重度・最重度の4つに分類
①知的能力(IQ)が70未満
②社会生活への適応能力が低い
③発達期(18歳以下)に生じる
2)コミュニケーション障害(4種)
①言語障害 →話す、書くといった言語の習得や使用に困難さを有する障害。
②会話音声障害(語音障害)→思いを上手く言葉にして話すことに困難さがある。
③吃音,小児期発症の流暢性障害 →多くは6歳までに発症、言葉のつまり、繰り返し。
④社会性コミュニケーション障害 →会話能力は十分あるが、コミュニケーションに問題が発症。
3)自閉症スペクトラム障害(ASD)→スペクトラム=多様な表現型
①コミュニケーションの欠陥
②常同的で反復的な運動動作
③同一性へのこだわり
④融通の効かない執着
⑤症状は発達早期(2〜3歳)の段階で必ず出現する
4)注意欠如・多動性障害(ADHD)=学齢期で3%〜7%罹患、12歳以前の症状で判断する。
で以降で消失する事もある。
①不注意 →落とし物や忘れ物が多い、気がそれる、集中し続けることの難しさ、忍耐力の弱さ
②多動性 →急に道路に飛び出す、不適切な場面で過剰に動きまわる
③衝動性 →授業中も落ち着きなし、座っていられず、席を立つ、不適切な行動
5)限局性学習障害(SLD)=学習障害
①学習の三要素(読む、書く、計算)に問題がある。
②就学前に顕在化しにくい
③学習意欲はある
統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群
1)妄想性障害(旧パラノイア)→妄想が中心症状で、それ以外の精神症状はなし
①被愛型 →相手から愛されている妄想。頻回に手紙やメール、家や職場に接触しようとする。
②誇大型 →自分はすごい才能や知識を持っている、重大な発見をした等の妄想が中心。
③嫉妬型 →明らかな証拠がないのに「浮気をしている」等と信じ込んで疑わない。
④被害型 →自分が被害を受けているという妄想が中心。
2)統合失調症 →中核症状は以下の5つ(妄想と幻覚が中心、段階を経て進行、予後不安定)※100人に1人弱が罹患。(6ヶ月以上続く)
①妄想(作為体験)→陽性症状
②幻覚 →陽性症状
③思考の解体(思考途絶)・疎通性のない会話
④まとまりのない言動・緊張病性の行動
⑤陰性症状(感情の平板化・無為・無気力)
双極性障害および関連障害群(躁病エピソード)
双極性障害=いわゆる「躁うつ病」の事(日内変動)
1)「うつ病」とは異なり、躁状態の時と、うつ状態の時が交互に出現。
2)「Ⅰ型」と「Ⅱ型」に分かれ、症例としては「Ⅱ型」が多い。
躁の状態 →誇大妄想、観念奔逸、考えの高揚・飛躍、過度の自信、楽観的で抑制できない感情、快楽の追求など
うつ状態 →気分の沈み、「楽しさ」の消失、意欲減退、集中力低下、易怒性、希死念慮など
抑(よく)うつ障害群
「抑うつ病」では、気分の落ち込み、活動への意欲の低下(精神運動制止)などにより、思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状況のことで、ほぼ毎日、2~3週間は前述の状態が継続する事で、治療の対象となる。また、希死念慮を伴う程の著名な状態の場合は「大うつ病」と呼ばれる。
「躁うつ病」との違いは、躁と、うつが交互に出現しない事。
不安症群/不安障害群
不安症は,過剰な恐怖心や不安が継続的に発生する状態で、不安を解消する為に取る行動により判断される疾患でもあります。全てに共通している症状としては、強い不安を継続的に感じ、日頃の生活に支障が出るという事です。
① 分離不安症…母親や家族と離れる事に不安を抱く。一般成人期に発症するものをいう。
② パニック症…突然強い恐怖感が襲うパニック発作により、生活機能の障害が反復して起こる。
③ 広場恐怖症…広々とした空間以外に、乗り物や映画館や劇場などで強い恐怖を抱く症状。
④ 限局性恐怖症…最も頻度が高く、対象として動物や高所、雷雨など要因は様々である。
強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群
強迫性障害の症状としては繰り返して浮かんでくる「強迫観念」と、それを打ち消す為に行う「強迫行為」とが同時に呈する状態をいいます。
1)強迫観念 →意思と無関係な不快感や不安感を、強く感じられ、長く続く為に苦痛を感じる。
2)強迫行為 →不快な強迫観念を打ち消したり、振り払うための行為であり、やめられない。
強迫症関連症群/強迫性障害および関連障害群
1)心的外傷後ストレス障害( PTSD )→生命を脅かされるような出来事(戦争、災害、犯罪、拷問・虐待等)や、トラウマ(心的外傷)、性的暴力などに曝(さら)される事などにより、苦痛な記憶がフラッシュバックするなどの悪化した精神状態が、1カ月以上継続する状態。
(1ヶ月以内は急性ストレス障害という)
①侵入症状→繰り返し起きる悪夢、フラッシュバックなど。
②回避症状→関連する刺激(記憶、場所、人など)から持続的に逃げる。
③認知と気分の陰性症状→トラウマ的出来事の想起不能、否定的な信念、持続的でゆがんだ認識。
④過覚醒(交感神経が過剰に高ぶる状態)→入眠困難、集中困難、易刺激性
2)急性ストレス障害(ASD)→上記と同じ心因的ストレスがあり、PTSDの症状を呈するものの、1ヶ月程度で消失する場合は急性ストレス障害に分類されます。
3)適応障害(AD)→本人と環境の間に大きなギャップがある事で、はっきりと確認できるストレス要因に反応し、3か月以内に発症、受け入れがたい事実が症状として出現する。
食行動障害および摂食障害
食行動障害→DSM-Ⅳ(4)では正常体重の85%が瘦せ型の目安となっていたが、DSM-5では具体的な数値は示されず「性,年齢,発育や身体面からみて著しい低体重」となっており、下位分類でBMIによる重症度を特定する事となった。(はっきりしたストレス因がない)
1)神経性やせ症/神経性無食欲症(太る事に恐怖感がある)
2)神経性過食症/神経性大食症
3)過食性障害 →自分ではコントロールできない過食(むちゃ食い)を繰り返すこと。しかし、過食によって体重が増加するのを防ぐための過度な運動や、嘔吐、下剤使用などの不適切な代償行動を伴わない点で神経性過食症とは区別される。
食行動および摂食障害
1)物質関連障害→アルコール、カフェイン、大麻、幻覚薬、吸入剤、オピオイド(鎮静薬)、睡眠薬、および抗不安薬(アンフェタミン型物質,コカイン,および他の精神刺激薬)、タバコなど、10種類の物質に対する依存的行動。
2)非物質関連障害群→ギャンブル障害のみ。
神経認知障害群
1)せん妄 →注意の障害(注意の集中や維持の低下)と、意識の障害(環境認識の低下)がある
①短期間で出現し(通常数時間から数日)、日内変動がある
②認知の障害(記憶障害、見当識障害、知覚障害など)がある
③①と②の障害は認知症ではうまく説明されない
④身体疾患や物資中毒・離脱などでも引き起こされる事もある
2)認知症、および軽度認知障害
①アルツハイマー病による認知症
②前頭側頭型認知症
③レビー小体を伴う認知症
④血管性認知症
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