2,心理学と心理的支援

〇〇効果
【問題】デシが提唱した内発的動機づけ理論によれば、金銭という外発的報酬を高めることは、作業や仕事など、それ自体から得られる内発的動機づけを低下させる可能性があるとしている。この効果を何と言うか?
1)ツァイガルニク効果
2)ハロー効果
3)アンダーマイニング効果
4)ピグマリオン効果
5)アンカリング効果
【解説】答え 3
適応機制(防衛機制)
【問題】下記の適応機制について、文章の内容と選択肢を結べ。
1)父から叱られ腹が立ったので弟に八つ当たりした。
2)攻撃衝動を解消するためにボクシングを始めた。
3)ある友人に批判的な気持ちになった。しかし、そんな気持ちは不適切だと思い、逆に優しい言葉をかけた。
4)飛行機事故の確率を調べたら低かったので安心した。
5)失敗した体験は苦痛なので意識から締め出した。
6)自分がとった葛藤を伴う言動について、一見もっともらしい理由づけをすることを何というか。
選択肢 ①合理化 ②昇華 ③知性化 ④反動形成 ⑤置き換え ⑥抑圧
【解説】
1) ⑤ キーワードは『八つ当たり』。
2) ②『ボクシング』と言えば、昇華。社会的に認められている行動に転嫁させる事。
3) ④ 受け入れがたい感情や衝動を隠すため、それとは反対の行動や態度を取る事。
4) ③ 漠然とした不安などを解消する為、知識を得る事で安全を認識し受け入れる事。
5) ⑥ 納得しがたい出来事などに対し、自らの無意識下に置き忘れる事で乗り越え様とする事。
6) ① キーワードは『酸っぱいブドウ』一見、最もらしい理由をつけて出来事を受け入れる事。
【問題】適応機制に置き換えて全て答えよ。
①認めたくない欲求を心の中に抑え込んだ
②欲求を価値の高い行為に置き換えた
③適当な理由をつけて、自分を正当化した
④発達の未熟な段階に後戻りして、自分を守った
⑤苦しくつらい現実から逃げることで、一時的に心の安定を求めた
【解説】
① 心の中に抑え込む→抑圧
② 価値の高い行為→昇華
③ 適当な理由をつけて→合理化
④ 未熟な段階に後戻り→退行
⑤ 逃げることで一時的に心の安定→逃避
【問題】下記の例題から、Aさんがとった行動について、下記選択肢から選べ。
例)Aさん(要介護3)は、2週間前に特養に入所した。パーキンソン病があり、入所後に転倒した為、介護職員は頻繁に「危ないから座っていてください」と声をかけていた。その後、徐々に自分でできることも介護職員に依存し、着替えも手伝ってほしいと訴えるようになった。
選択肢 ①投影 ②退行 ③攻撃 ④抑圧 ⑤昇華
【解説】発達段階において、以前は出来てた事ができなくなったり、より未熟な状態に戻ってしまう事や、ストレスや葛藤に対処するために、より幼い行動や思考パターンに後戻りすることを言う。答え ②退行
【解説】それぞれのキーワードを押さえましょう。
●抑圧:『無意識の中に』閉じ込める
●退行:『赤ちゃん返り』
●昇華:『ボクシング』
●置き換え:『弟に八つ当たり』
●合理化:『すっぱいブドウ』
●知性化:『飛行機が墜落』
●補償:勉強➡スポーツで達成
●代償:海外旅行➡国内旅行で我慢
●反動形成:『好きな子にイジワル』
●逃避:『逃げる』
コーピング
【問題】選択肢の内容から、コーピングの種類について答えよ。
1)介護ストレスを解消してもらおうと、介護者に気晴らしを勧めた。
2)困難事例に対応できなかったので、専門書を読んで解決方法を勉強した。
3)育児に悩む母親が、友人に話を聞いてもらえて気分がすっきりしたと話した。
選択肢
① 情動焦点型コーピング
② 問題焦点型コーピング
③ ストレス解消型コーピング
【解説】
1)③ ストレス状態において、気分転換などの別の情動に切り替える事
2)② ストレスの問題を引き起こしている事象(ストレッサー)そのものに対応
3)① 不安定な気持ちに対して働きかけ、その気持ちを心理的に和らげる方法
【問題】選択肢の内容から、情動焦点型コーピングについて正しいものを答えよ。
1)事例検討会で発表することになったが、うまくできるか心配になったので深呼吸をした。これは、問題焦点型コーピングである。
2)残業が続き自分一人ではどうにもならなくなったので、上司に仕事の配分の見直しを依頼して調整してもらった。これは情動焦点型コーピングである。
3)利用者との面接がうまくいかなかったので、新しいスキルを身につけるため研修会に参加した。これは、問題焦点型コーピングである。
【解説】答え 1
心理療法
【問題】下記の行動療法について『系統的脱感作法』の記述として正しいものを1つ選べ。
1)ワザと不安や恐怖に曝す事で、徐々に対象者が慣れる事を目的としている。
2)不安階層表を用いて、より下位の不安から徐々に刺激を加え段階的に克服させる。
3)四肢の重感や温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、心身の状態を緊張から弛緩(しかん)へと切り替える。
4)お手本(モデル)となる他者の行動を観察、模倣することで、新しい行動を獲得したり既存の行動 パターンを修正する 。
5)適切な反応に対し報酬を与える事で、目的行動の頻度を高める。
【解説】
1)暴露療法の説明。不安喚起場面に繰り返し曝すことで、クライエントの不安感を低減させる。
2)〇 系統的脱感作法は、個々のクライエントに対し作成された不安階層表を基に、リラックスした状態下で不安の誘発度の最も低い刺激から徐々に刺激が増やされ、段階的に不安を克服していく。
3)筋弛緩法の説明。
4)行動療法には、他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリング療法が含まれる。
5)強化法を利用し、特定の行動を増やしたり強化するために、トークンと呼ばれる報酬と交換できる代理貨幣を与える事をトークンエコノミー法という。
【問題】ベックが提唱された『認知療法』について正しいものを1つ選べ。
1)ラポールの関係
2)自由連想法
3)非指示的方法
4)系統的脱感作法
5)非合理的信念を変容させる
【解説】ベックは、自己評価の低さや自己否定・自己避難的な感情を変えるため、認知のゆがみを再構造化し行動を改善する「認知療法」を創始しました。現在、認知療法は、後年に登場した認知行動療法の概念の中に分類されています。答え 5)
【問題】認知行動療法には、他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリング法が含まれる。
【解説】認知行動療法とは 『認知』と『行動』の両方にアプローチし、不適切な『自動思考』を修正する方法を言います。他者の行動を通して行動を変容させるモデリング療法はバンデューラが提唱し、認知行動療法に含まれます。答え 〇
【問題】下記の心理療法における『行動療法』に該当しないものを1つ選びなさい。
①暴露療法
②系統的脱感作法
③トークンエコノミー法
④モデリング療法
⑤森田療法
【解説】 ⑤森田療法は森田正馬(まさたけ)氏が提唱し、キーワードは『絶対臥褥』です。精神症状態を発症する素性のある者が誘発因子によって発症するとされ、不安は取り除かずに、あるがままの状態で、生理的な必要のある事から、徐々に行動をさせていく方法で、日本独自の心理療法です。
食事とトイレ以外は寝て過ごす「臥辱期」から、軽作業を行う「作業期」、外出も行う「生活訓練期」 などのプロセスを経る。答え ⑤
【問題】森田療法は、不安をあるがまま受け止め、不安の中で目の前の作業に取り組む日本独自の心理療法である。
【解説】森田療法のキーワードは『あるがまま』の状態と『絶対臥褥』です。第一期の「臥辱期」では、絶対臥褥と言われ、生理的行動以外は終日個室で横になって過ごします。その後は段階的に活動を広げて行くという様なプロセスを経ていきます。答え 〇
【問題】自律訓練法は、四肢の重感や温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、心身の状態を緊張から弛緩(しかん)へと切り替える。
【解説】シュルツが提唱した、リラクゼーション法(自律訓練法)は、注意集中や自己暗示によって心身をリラックスさせる自己催眠法です。答え 〇
【問題】系統的脱感作法は、四肢の重感や温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、心身の状態を緊張から弛緩へと切り替える方法である。
【解説】系統的脱感作法のキーワードは『不安階層表』です。「心身の状態を緊張から弛緩へと切り替える方法」は、シュルツが提唱したリラクゼーション法(自立訓練法)の事です。答え ✕

【問題】下記選択肢について、ブリーフセラピーに関する説明が合っているものはどれか。
①クライエントの過去に焦点を当て、クライエント自らが解決を目指していく。
②問題が起きなかった例外的な状況に関心を向け問題解決能力を向上させる。
【解説】ブリーフとは「短期間に」「簡潔に」と言う意味で、問題が起きなかった例外的な状況に関心を向け、クライエントの問題解決能力を向上させるアプローチ方法です。また、クライエントの過去には焦点を当てず、現在や未来を想像する方法です。 答え ②
【問題】ソーシャルスキルトレーニング(SST)について、〇か✕で答えよ。
「ロールプレイ」などの技法を用い、対人関係で必要な「スキル」の習得を図る方法である。
【解説】社会生活技能訓練(SST)では、ロールプレイなどの技法を用い、対人関係で必要なスキル習得を図る方法です。答え 〇
【問題】ロジャーズ が提唱した来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく方法である。
【解説】ロジャースが提唱した「来談者中心療法」は、クライエントの話しを否定せず、寄り添い、 ありのままを『受容』し『傾聴』したり『共感』したりと、とにかくクライエントの話しを否定せず寄り添う療法である。答え ✕
【問題】クライエント中心療法(来談者中心療法)における下記選択肢のうち、最も適切なものを一つ選べ。
①クライエントの話を非指示的に傾聴していく。
②解決に焦点をあわせ、クライエントの強みを発展させる。
③クライエントの家族関係を変容しようとする。
④クライエントの意識を無意識化していく。
⑤クライエントの認知や行動に焦点を当てていく。
【解説】クライエント中心療法はロジャーズにより提唱された、クライエントを無条件で受容し、クライエントの自己実現を促す非指示的療法です。
①〇 クライエントに非指示的に関わる事は来談者中心療法のに当てはまります。
②✕ 問題の解決に焦点を合わせるのは、解決志向アプローチです。
③✕ 家族を1つのシステムとして介入する方法は家族システムアプローチです。
④✕ 意識を「無意識化して」とありますが、キーワードとしてはフトイトの精神分析療法が該当しますが、意識を無意識化するのではなく、無意識を意識化にする療法です。
⑤✕ 認知や行動に焦点を当てていく療法は、認知行動療法になります。認知行動療法とは、クライエントの歪んだ意識に着目して、認知面と行動面の両方から介入していく療法です。
【問題】箱庭療法は、言葉では言い尽くせないような象徴的表現が可能であり、強い認知体験を伴って適度の意識化を促し、治療を進展させることができる。
【解説】箱庭療法とは、玩具と箱を用意して自由に箱庭を作成させることで心理状況や感情を把握する方法の事で、設問の前半分「言葉では言い尽くせないような象徴的表現が可能であり」は正しいですが、「強い認知体験を伴って」では無く、情動体験を伴う事が多いです。答え ✕

【問題】遊戯療法(プレイセラピー)は、言語によって自分の考えや感情を十分に表現する方法であり、主として心理劇を用いる。
【解説】遊戯療法(プレイセラピー)は、子どもとカウンセラーなどが玩具を用いて一緒に遊ぶことで、感情の浄化を図る「遊び体験」が自己治療的な意味を持ち、クライエントの自信と確信を持たせる為の療法です。一方、設問の「心理劇」を用いた療法は、モレノが提唱したサイコドラマで、役割を演じる事によって個人の自発性や創造性を促進し、対人関係を調節します。答え ✕
【問題】次のうち行動療法に当てはまるものはどれか?
①問題が起きなかった例外的な状況に関心を向け、クライエントの問題解決能力を向上させる。
②自由連想法を用い、クライエントの無意識の葛藤を明らかにする。
③不安喚起場面に繰り返し曝すことで、クライエントの不安感を低減させる。
【解説】
①✕ 「問題が起きなかった例外的な状況」に視点を当て、クライエントの問題解決能力を向上させる事は、ブリーフセラピー(短期療法)の解決思考アプローチになります。
②✕ 自由連想法は、頭に浮かんだことを自由に発言する方法で、無意識化から意識化に問題を抽出する精神分析療法で、フロイトによって提唱されました。
③〇 暴露療法は、不安喚起場面にあえて繰り返し曝す(さらす)事で、クライエントの不安を解消していく療法です。
【問題】家族療法のシステムズ・アプローチでは、家族間の関係性の悪循環を変化させる。
【解説】家族システムアプローチでは、家族の因果関係を線形的(リニア)でなく、円環的(サーキュラー)な視点からアプローチする方法です。答え 〇

【問題】クライエントが即興的にドラマを演じ、自発性や創造性を高める事を目的とした心理劇(サイコドラマ)はモレノが提唱した。
【解説】役割を演じる事によって、自発性や創造性を促進、対人関係を調節する心理劇(即興劇)はモレノが提唱した療法で、サイコドラマのキーワードは『即興劇』『役割を演じる』などです。答え 〇
心理検査-性格検査「投影法」
投影法まとめ
・ロールシャッハテスト➡インクのシミ
・P-Fスタディ➡ピクチャー『絵』、フラストレーション『欲求不満』
・TAT➡泣き顔、絵を見て物語を作る
・バウムテスト➡木、家、人を描く
【問題】下記の心理検査における性格検査として、間違っているもの一つを答えよ。
①ロールシャッハテストは、図版に対する反応からパーソナリティを理解する投影法検査である。
②TATは、提示された絵を見て作った物語の内容から、隠された欲求やコンプレックスの存在を明らかにする。
③P-Fスタディは、欲求不満の場面が描かれたイラストに対する反応から、攻撃に対する傾向を知るのに役立つ。
④バウムテストとは、木の絵の描画から、性格や考え方を分析する検査の事です。描かれた内容により、筆圧、木の位置や種類や数、描くなどで分析される。
⑤社会生活技能訓練(SST)では、ロールプレイなどの技法を用い、対人関係で必要なスキルの習得を図る。
【解説】社会生活技能訓練(SST)は、性格検査ではなく、行動療法の一つです。実際の問題では、英単語の「SST」としか表記されていない事が多いため、SST=社会生活技能訓練と覚える様にして下さい。答え ⑤
【問題】下記の心理検査の説明について、正しいものを1つ選べ。
①頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。
②投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。
③成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。
④ロールシャッハテストは、図版に対する反応からパーソナリティを理解する投影法検査である。
【解説】
①✕ PFスタディは、P=ピクチャー、F=フラストレーションを意味しており、ある悲しい絵をクライエントに見せる事で、欲求不満の状態を明らかにする投影法です。
②✕ 東大式エゴグラムは人格検査ではあるが、投影法を用いた検査ではありません。
③✕ バウムテストは自由に、木と家、人を書いてもらい判断する投影法を用いた性格検査です。
④〇 設問の通り。「ルビンの杯」は良く知られた図版です。


心理検査-性格検査「質問紙法」
質問紙法まとめ
・YGPI…矢田ギルフォード➡性格を12の尺度で評価する
・MMPI…ミネソタ多面人格➡うつ、ヒステリー、社会的不適応等のパーソナリティ(性格)を多種多様な角度から評価できる

心理検査-性格検査「作業検査法」
作業検査法まとめ
・内田クレペリン検査 1~9の数の連続した足し算 ひたすら足していく。
就学前の幼児から、小中高校生~成人まで、幅広い年齢層で利用が可能。
質問紙法ではありません‼️ 作業検査法は内田クレペリンのみ覚える。
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【問題】下記の心理検査の例として、正しいものを1つ選べ。
①乳幼児の知能測定のためWPPSIを実施した。
②頭部外傷後の認知機能測定ためP-Fスタディを実施した。
③投影法による人格検査を依頼され、東大式エゴグラムを実施した。
④児童の発達測定のため内田クレペリン精神作業検査を実施した。
⑤成人の記憶能力の把握のためバウムテストを実施した。
【解説】
①WPPSIは、ウェクスラー知能検査の中でも、幼児用(Pre-school)で(2~7歳)が対象となります。乳児を対象とした検査は「WPPSI」が適しています。答え 〇
②P-Fスタディは、日頃の欲求不満の度合いを測定する検査で、認知機能の測定はできません。
③東大式エゴグラムは人格検査ではありますが、投影法ではなく質問紙検査法になります。
④内田クレペリンは簡単な算数問題をひたすら答えていく作業検査法で、性格を判断します。
⑤バウムテストは自由に木と人、人間を描く事で判断される投影法で、記憶能力のテストはできません。
【問題】下記の心理検査の例として、正しいものを1つ選べ。
①MMPIでは、単語理解のような言語性の知能を測定する。
②P-Fスタディでは、欲求不満場面での反応を測定する。
③TATでは、インクの染みを用いた知覚統合力を測定する。
④WAISでは、抑うつの程度を測定する。
⑤CMIでは、視覚認知機能を測定する。
【解説】
①MMPI(ミネソタ多面的人格目録)は、対象者のアセスメントの際に用いられる質問紙法で、抑うつや、ヒステリーなど10の臨床尺度によって性格の特性を審査します。
②P-Fスタディは、日頃のフラストレーションの状態を診断する投影法を用いた検査方法です。答え 〇
③TATは、図版に描かれた、あるシュチューションを見て、そこから判断される状況を自由に答える事で個人の性格を検査する方法です。
④WAISは知的能力を判断する検査ですが、抑うつの程度は判断できません。
⑤CMI(コーネル・メディカル・インデックス)は、身体や精神の健康状態についての質問から、疲労感や緊張の程度を検査する方法です。視覚認知機能を測定する検査としては、VMI(視覚認知機能検査)が適切です。
心理検査-知能検査
知能検査の種類
①ウェクスラー式知能検査
②改定⾧谷川式簡易知能スケール
③ビネー知能検査
【問題】改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の説明として正しいものを選べ。
①高齢者の抑うつを測定する
②結果がカットオフポイントを下回ったので、発達障害の可能性を考えた
③記憶、見当識、計算などに関する質問から成る
④点数(得点)が高いほど重症である
【解説】長谷川式(HDS-R)は高齢者などの『認知症』の判断に使います。質問が30点満点で、20点(⬅カットオフポイント)以下は認知症の疑いありと判断します。
①抑うつの判断はできません、②カットオフポイント(20点)を下回ると認知症の疑いあり。③正解、④点数が低いほど重症と判断する。
【問題】ビネー知能検査の説明について正しいものを1つ選べ。
①「年齢尺度」を用い、年齢ごとの課題から、パス出来たか出来なかったかで「精神年齢」と「生活年齢」との比によって「知能指数IQ」を算出する。
②550の質問に対する回答の結果により、抑うつ性、ヒステリーなどの人格的・社会的不適応の種別と程度を評価する。
③小学校就学前の5歳児を対象として行われる心理検査である。
④クライエントのアセスメント時に用いられる質問紙法であり、抑うつ・ヒステリーなど10の臨床尺度によって査定する。
⑤高齢者の認知度が低下してきた為、この検査を用いて判断したところ、カットオフポイントを下回った。
【解説】ビネー知能検査は、ビネーとシモンが、知的の学問的な診断法を確立する為に開発した、世界で初めての知能検査です。また、検査の方法は「個別面接法」であり、複合的な多岐にわたる質問から「精神年齢」を算出します。答え ①
【問題】下記のウェクスラー知能検査のうち正しいものを1つ選べ。
①WISC-Ⅳの対象年齢は、2~7歳である
②WAISでは、抑うつの程度も測定できる
③10歳の子どもが了解したのでWAIS-Ⅳ を実施した
④WISC-Ⅳの結果、四つの指標得点間のばらつきが大きかったので、IQの数値だけで全知的能力を代表するとは解釈しなかった
【解説】ウェクスラー知能検査では、言葉の理解力や文字の並べ替えができるかどうかを測る「言語性検査」と、複数の中から条件に合ったものを選ぶ能力を測る「動作性検査」を行います。対象者の年齢によって分けられており、下記に分かれています。
1)WAIS(Adult)➡成人用(16~90歳)、2)WISC(Children)➡児童用(5~16歳)、3)WPPSI(Pre-school)➡幼児用(2~7歳)となります。
また、抑うつや、認知度などは測定できず、WISC-Ⅳの結果、各項目の得点のばらつきが大きい場合は、IQの判断が難しい場合もある、とされています。答え ④
【問題】下記の知能検査のうち、正しいものを2つ選べ。
①MMPIでは日常生活の欲求不満場面を投影法により測定する。
②改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、高齢者の抑うつを測定する。
③ロールシャッハテストは、図版に対する反応からパーソナリティを理解する投影法検査する。
④矢田部ギルフォード性格検査は、連続した単純な作業を繰り返す検査する。
⑤ウェクスラー式知能検査は、言語性と動作性の両面からの問題によって構成される検査である。
【解説】
①日常生活の欲求不満場面を投影法によって測定するのは、P-Fスタディーが適当です。
②改訂長谷川式簡易知能検査は、高齢者の認知度を測定するスクリーニングに用いられ、抑うつ等の精神状態を判断するものではありません。
③正解 〇
④単純な作業を繰り返すのは「内田クレペリン作業検査」が適当です。
パーソナリティ理論
パーソナリティ理論
1)類型論
・ユング ➡内向型、外向型 ゴロ『遊具は内と外に』
・クレッチマー ➡肥満型、細身型、筋骨型 ゴロ『太っちまー』
2)特性論(特性因子を探す事)
・オールポート➡共通特性と個人特性
・ギルフォード➡矢田部ギルフォード(YGPI)の原型
・ゴールドバーグ ➡ビッグファイブ(5因子) ゴロ『新海誠は腸がいい』
・オールポート ➡共通特性と個人特性
・ギルフォード ➡13因子、外向型、思考型、うつ性、支配性…
【問題】
①クレッチマー( Kretschmer, E. )は、特性論に基づき、体格と気質の関係を示した。
②ユング( Jung, C. )は、外向型と内向型の二つの類型を示した。
③オールポート( Allport, G. )は、パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。
④キャッテル( Cattell, R. )は、パーソナリティをリビドーにより説明した。
⑤5因子モデル( ビッグファイブ )では、外向性、内向性、神経症傾向、開放性、協調性の5つの特性が示されている。
【解説】
①クレッチマーは、特性論ではなく類型論を提唱しました。精神科医のクレッチマーは、3大精神病(統合失調症・躁うつ病・てんかん)といわれた患者には特有の体型と気質があるとして、「分裂気質」・「循環(躁鬱)気質」・「粘着気質」の3つの特性に分類した性格論を展開しています。
・細身型(分裂気質/内気、繊細、非社交性)
・肥満型(循環(躁うつ)気質/陽気、気分の浮き沈みが激しい、同調性)
・闘士型(粘着気質/几帳面・融通が利かない)
②ユングは、興味や関心の方向性に着目し、外向型と内向型の2つの類型論を提唱しました。外向型とは、興味や関心が自分の外の世界や周囲に向いてしまうタイプであり、感情表現が豊かであったり、社交的な人があてはまります。一方、内向型とは、興味や関心が自分の内面に向いてしまうタイプで、控えめで思慮深いなどの人があてはまるといわれています。答え 〇
③オールポートは、パーソナリティの特性論として「共通特性」と「個人的特性」の二つに分けました。「共通特性」を14の共通特性(支配的‐服従的、持久的‐動揺的、外向的‐内向的など)としてまとめ、これらを他者と比較することで測定し、個人のパーソナリティの特性を表す「心誌サイコグラフ(Psychograph)」を作成しました。
④パーソナリティーをリビドーで説明したのは、精神分析のフロイトの事です。キャッテルは、パーソナリティを因子分析によって説明しています。人の特性を定量化可能な「共通特性」と質的特性である「独自特性」に分類しました。 さらに、この2者に基づいた状況的で、観察可能な「表面的特性」と観察不能な要因である「根源的特性」から性格を理解しようと考えました。
そして、 「根源的特性」を基に「16パーソナリティ因子質問紙」という性格検査を作成しました。
⑤ゴールドバーグによって提唱された、5因子モデル(ビッグファイブ)では、下記の5つの特性が示されています。
・外向性(活動性・温かさ)
・神経症傾向 (不安・繊細)
・開放性(感情的・価値観重視)
・協調性(信頼性・やさしさ)
・誠実性(良心・慎重さ)
【問題】ゴールドバーグが提唱した、5因子モデル(ビッグファイブ)における、外向性の特徴として、下記の選択肢から正しいものを1つ選べ。
①ささいなことで落ち込みやすい。
②新しいことに好奇心を持ちやすい。
③他者に対して親切である。
④他者との交流を好む。
⑤責任感があり勤勉である。
【解説】こんな感じで覚えて下さい。答え ④
1. 落ち込みやすい、神経症
2. 新しい事にも、解放性
3. 誰にも親切、協調性
4. 交流好む、外向性
5. 責任感あり、誠実性
【問題】ゴールドバーグが提唱した、5因子モデル(ビッグファイブ)における説明として正しいものを1つ選べ。
①5因子モデルでは、外向性、内向性、神経症傾向、開放性、協調性の5つの特性が示されている。
②外向性・神経症傾向・誠実性・調和性・経験への開放性から成るビッグファイブ(5因子説)は、特性論の一例である。
③5因子モデルにおける神経症性の特徴として、ささいなことで落ち込みやすいという気質がある。
④5因子モデルにおいては、パーソナリティ全体をいくつかの層の積み重なった構造としてとらえる。
⑤エス・自我・超自我の区別と相互作用説は、5因子モデルで提唱される、特性論の一つの証拠となっている。
【解説】
①外向性と内向性は、一つのカテゴリーとして「外向性」に分類され、同じ意味を持つ相反する特性は存在しない。
②「経験への開放性」ではなく、新しい事にも対応可能な「解放性」が挙げられている。
③答え 〇
④パーソナリティ全体をいくつかの層の積み重なった構造としてとらえる考え方は、パーソナリティの構造論に分類されます。
⑤エス・自我・超自我の区別や、リビドーと呼ばれる相互作用説は、フロイトが提唱した構造論であり、相互作用説は遺伝と環境が相互に作用するという考え方です。
オペラント条件づけ
【問題】下記の選択肢から、レスポデント条件づけとして正しいものを選べ。
①自動車で事故に遭ってから、自動車に乗ろうとすると不安な気持ちを強く感じるようになった。
②おもちゃを乱暴に扱っていた子どもに注意をしたら、優しく扱うようになった。
③工事が始まって大きな音に驚いたが、しばらく経つうちに慣れて気にならなくなった。
④以前に食べたときに体調が悪くなった食品を見ただけで、気分が悪くなってしまった。
⑤犬にベルの音を聞かせながら食事を与えていると、ベルの音だけで唾液が分泌するようになった。
⑥人に迷惑をかけるいたずらをした子どもを叱ったら、その行動をしなくなった。
【解説】
①事故にあった経験が引き金になり、無意識に不安な気持ちが発出している為、レスポデント条件づけ。答え 〇
②子どもに注意したら(叱る)、乱暴さが無くなったので、オペラント条件づけの「正の弱化」の例。
③工事の音に一時的に驚いたが、時間の経過によりその音に慣れてしまったので、これは馴化という反応です。
④以前に食べて体調が悪くなった食品を見ただけで気分が悪くなる現象は、人間の防衛反応でもあり、レスポデント条件づけと考えられる。答え 〇
⑤パブロフの犬で有名な、レスポデント条件づけです。答え 〇
⑥子供を叱る事で、その行動が抑制されたので、これはオペラント条件づけの「正の弱化」の例です。
【問題】下記の選択肢から、レスポデント条件づけとして正しいものを選べ。
①授業中、勝手に話をしていた生徒を叱ったら、私語がなくなった。
②好きな曲が流れているテレビCMの商品に好感を持つようになった。
③デイサービスで嫌な思いをした高齢者が、デイサービスを休むようになった。
④まぶたにストローで空気を吹き付けると、思わずまばたきした。
⑤食あたりした後に、その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。
⑥うまくできたら褒めることで、ピアノの練習に取り組むようになった。
【解説】
①生徒を叱った(+)ら、私語がなくなった(ー)。正の罰
②好きな曲が流れる➡商品に好感を持つ 〇レスポンデント条件づけ
③嫌な(ー)思いをした(+)デイサービスを休む(ー) 正の罰
④まぶたに空気を吹き付ける➡まばたきした。条件反射的行動
⑤食あたり➡その食べ物を見るだけで吐き気がする 「般化」の例
⑥褒める(+)ピアノの練習に取り組むようになった 正の強化
【解説】オペラント条件づけの4類型。詳しい記事はこちら。
・正の強化 : 刺激が与えられて行動が増大(例:トークンエコノミー)
・負の強化 : 刺激が取り除かれて行動が増大(例:逃避学習、回避学習)
・正の罰 : 刺激が与えられて行動が減少(例:叱ると私語がなくなる)
・負の罰 : 刺激が取り除かれて行動が減少(例:レスポンスコスト)

【問題】オペラント条件づけの4パターンにおける、正の強化、正の弱化(罰)にあたるものは、それぞれどれか。
①デイサービスの体験利用をしたら思ったよりも楽しかったので、継続的に利用するようになった
②試験前に時間をかけて勉強することで高得点が取れたので、次の試験前にも勉強に時間をかけるようになった
③おもちゃを乱暴に扱っていた子どもに注意をしたら、優しく扱うようになった
④以前に食べた時に体調が悪くなった食品を見ただけで、気分が悪くなった
⑤犬にベルの音を聞かせながら食事を与えていると、ベルの音だけで唾液が分泌する
⑥人に迷惑をかけるいたずらをした子どもを叱ったら、その行動をしなくなった
【解説】オペラント条件づけの解説記事はこちら
①体験利用(+)、楽しかった(+)、継続的に利用(+)➡正の強化
②勉強する(+)、高得点が取れたので(+)、次の試験前にも勉強に時間をかける(+)➡正の強化
③乱暴に扱う(+)、注意をする(+)、優しく扱う=乱暴に扱うのやめる(-)➡正の弱化
④➡レスポンデント条件づけ
⑤➡レスポンデント条件づけ
⑥いたずら(+)、叱る(+)、その行動をしなくなった(-)➡正の弱化
【問題】下記の選択肢より、馴化(じゅんか)の説明として正しいもの二つを選べ。
①同じ大きな音が繰り返されるにつれて、驚愕反応が小さくなった
②乳児に新しいおもちゃを見せたら、古いおもちゃよりも長く注視した
③まぶたにストローで空気を吹き付けると、思わずまばたきした
④食あたり後、その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった
⑤工事が始まって大きな音に驚いたが、しばらく経つうちに慣れて気にならなくなった。
【解説】「馴化」とは、同じ刺激をくり返すことで「馴れ」がおこり、その刺激に対する反応が弱まることを指す。
① 〇
②これは「脱馴化」の説明です。新しいおもちゃの方を長く注視するという反応を見ることで、赤ちゃんが古いおもちゃと新しいおもちゃの識別ができているという判断に繋がります。
③条件反射的行動
④「般化」の例です。一度条件づけられたものと同じようなものに対しても反応するようになることは、般化といいます。または、レスポンデント条件づけに近い反応です。
⑤ 〇
【問題】下記の選択肢から正しいもの一つを選べ
① 古典的条件づけでは、般化は生じない
② 味覚嫌悪学習は、脱馴化の典型例である
③ 部分強化は、連続強化に比べて反応の習得が早い
④ 危険運転をした者の運転免許を停止することは、正の罰である
⑤ 未装着警報音を止めるためにシートベルトをすることは、負の強化である
【解説】
①✕ 一度条件づけられたものと同じようなものに対しても反応するようになることを「般化」といいます。レスポンデント条件づけでも、同じ様な反応を繰り返す事があります。
②✕ 味覚嫌悪学習とは、食べ物を食べたあとに腹痛や下痢などの嫌な経験の学習によって、次に同じものを食べようとしたときに嫌悪感を感じて食べれなくなることをいい、レスポンデント条件づけ、または「般化」と言います。
③✕ 一般的に連続強化は、部分強化に比べて反応の習得が早い。
④✕ 運転免許(+)、停止する(-)、運転できなくなる(-)ことは「負の罰」である
⑤〇 未装着警報音(-)、止める(-)、シートベルトをする(+)は「負の強化」である
愛着理論
【問題】下記の選択肢から正しいもの一つを選べ
①ストレンジ・シチュエーション法では、虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい
②愛着のタイプに影響を及ぼす要因には、養育者の子どもに対する養育態度だけでなく、子ども自身の気質もある
③子どもの後追い行動は、愛着の形成を妨げる要因になる
④乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが、後の対人関係パターンに影響することは稀(まれ)である。
【解説】
①✕ ストレンジ・シチュエーション法とは、母親と赤ちゃん(満1歳児)の愛着を測定する実験方法です。 母子の分離、他者の導入、母子の再会などの過程を経て、赤ちゃんにどのような反応が見られるかを「安定型(B型)」「回避型(A型)」「葛藤型(C型)」として3つのタイプに分類します。
1)安定型の子どもは、母親への信頼感を内包する行動をとるなど、安定した適切なアタッチメントの発達を示しますが、2)回避型と3)葛藤型の子どもは共に、アタッチメントが希薄であったり、母親に対する矛盾した反応を示したりする傾向があり、愛着のタイプを見いだすことができます。
②〇 愛着の形成には養育者の子どもに対する態度だけでなく、扱いやすい・引っ込み思案・気難しいといった子ども自身の気質も関係するとされています。
③✕ 子どもの後追い行動は、愛着形成の為に大切な行動です。
④✕ 内的ワーキングモデルとは、乳幼児期における養育者との相互関係のなかで形成され、青年期や成人期にも影響するとされています。
【問題】ストレンジ・シチュエーション法における「安定型」の例はどれか。
①養育者がいないと不安な様子になり、再会すると安心して再び遊び始める
②養育者がいないと不安な様子になり、再会すると接近して怒りを示す
③養育者がいないと不安な様子になり、再会しても関心を示さずに遊んでいる
【解説】
①〇 安定型の例です
② 葛藤型の例です
③ 回避型の例です
発達段階説
【問題】エリクソンの発達段階説における各段階の課題について正しいものはどれか。
①乳児期では、自発性の獲得である
②幼児期後期では、信頼感の獲得である
③学童期(児童期)では、親密性の獲得である
④青年期では、自律感の獲得である
⑤老年期では、統合感の獲得である


【解説】上の表は、エリクソンのライフサイクルの語呂合わせで、下のイラストは語呂合わせを可視化したものです。
①✕「乳児期」の発達課題は「信頼性」です
②✕「幼児期後期」の発達課題は「自発性」です
③✕「学童期(児童期)」の発達課題は「勤勉性」です
④✕「青年期」の発達課題は「自我同一性」です
⑤〇「老年期」の発達課題は、「統合感の獲得」です
【問題】エリクソンの発達段階理論における「アイデンティティ」が発達課題となる年齢について、正しいものはどれか?
①3歳
②7歳
③15歳
④30歳
⑤50歳
【解説】上の語呂合わせイラストから、「いさむは、いい兄さん」から「12歳~20歳」を覚えます。答え ③
【問題】ピアジェの認知発達理論に関する選択肢のうち、正しいものはどれか。
①体積や量の保存の概念は、感覚運動期に獲得される。
②自己中心的な思考は、形式的操作期の特徴である。
③抽象的な論理的思考は、前操作期に発達する。
④可逆的な操作は、具体的操作期に可能となる。
⑤対象の永続性は、形式的操作期に獲得される。


【解説】ピアジェの発達段階説について
1)感覚運動期(生後から約2歳まで)
・目の前に無い物でも、頭の中でイメージができる、また、親が一時的にいなくなっても、どこかの場所にいる事を理解できたり、隠されたおもちゃが、どこかにある事を理解し探そうするなどの「物体の永続性」が理解できる様になります。
2)前操作期(約2歳から7歳まで)
・絵を書いたり、ごっこ遊びや、ままごと、簡単な物語を作って話す、歌う、過去の経験について話すなど、想像力を使った遊びや行動ができる様になります。また、悪意なしに、他人の視点に立つことができず、自己中心的な考えを持つのも、この前操作期の特徴である。
3)具体的操作期(7歳から11歳頃)
・コップの水を、別のコップに移しても、水の量が変わらない事が理解出来たり、教材用の粘土を伸ばしたり、平たくしたりしても、粘土の質量は変わらない事が理解できるといった「保存」の概念が身についてきます。また、一度変化したものはまた元に戻るという「可逆性」への理解が出来る様になります。これは、一度潰した粘土でも、また元の形に戻せる事や、コップの水を元の容器に戻せる事など可逆的な理解が発達します。
4)形式的操作期(11歳から成人)
・抽象的な物事の理解や、仮説思考(物事の予測)など、より高度な思考能力が発達する時期です。頭の中で想像しながら物事を考えたり、環境に合わせて判断できる様になります。この時期の発達は、成年になるまで継続されます。
【解説】
①✕ 体積や量の保存の概念は、形式的操作期に獲得される。
②✕ 自己中心的な思考は、前操作期に見られる特徴である。
③✕ 抽象的な論理的思考は、形式的操作期に発達する。
④〇 可逆的な操作は、具体的操作期に可能となる。
⑤✕ 対象の永続性は、感覚運動期に獲得される。
【問題】ピアジェの認知発達理論に関する選択肢のうち、正しいものはどれか。
①感覚運動期には「ごっこ遊び」のようなシンボル機能が生じる
②前操作期には、元に戻せば最初の状態になることが理解され、可逆的操作が可能になる
③具体的操作期には、コップから別の容器に水を移したときに液面の高さが変化しても、量は変わらないことが理解できる
【解説】
①✕「ごっこ遊び」は前操作期の特徴です。
②✕「可逆的な物事の理解」は、具体的操作期の特徴です。
③〇「保存の概念」は、具体的操作期の特徴です。
【問題】下記の各発達段階説のうち正しいものはどれか。
①ヴィゴツキー(Vygotsky,L.)によれば、子どもの知的発達には、独力で問題解決できる水準と、他者からの援肋などによって達成が可能な水準があると考えられる。
②ピアジェ(Piaget,J.)によれば、感覚運動期→前操作期→具体的操作期→形式的操作期という段階を経て、運動能力は発達すると考えられる。
③ゲゼル(Gesell,A.)によれば、個体の行動や能力などの発達は、個体内の神経生理学的成⾧よりも環境の影響を強く受けると考えられる。
④ボウルビィ(Bowlby,J.)によれば、乳児の成人への接近や接触要求の行動は生得的なものではなく、学習による行動であると考えられる。
⑤エリクソン(Erikson,E.)によれば、各発達段階で生じる欲求には階層性があり、各階層の欲求が順に満たされることで自己実現が可能になると考えられる。
【解説】
①〇 ヴィゴツキーのZPD領域(他者からの援肋などによって達成が可能な水準)の説明です。
②✕ ピアジェ(Piaget,J.)による発達段階説は、運動能力ではなく『認知』や『思考』の能力の発達である。
③✕ ゲゼルは『人は適切な成熟を待たなければ、教育や訓練の効果はない』という成熟優位説(遺伝説)を提唱し、環境の影響よりも遺伝による影響に強く受けると考えた。
④✕ ボウルビィは、乳児の成人への接近や接触要求といった愛着行動は、生得的なものであると主張しました。
⑤✕ 「各発達段階で生じる欲求には階層性があり、各階層の欲求が順に満たされることで自己実現が可能になる」は、マズローの欲求階層説の説明である。
【問題】各提唱者と内容について正しいものを選べ
①シュテルン
②ワトソン
③ゲゼル
選択肢
A)環境優位説 学習に遺伝は関係なく、後天的に与えられた環境によって変化する
B)成熟優位説 人は適切な成熟を待たなければ、教育や訓練の効果はない
C)輻輳説 遺伝と環境の両方が精神発達に影響を与える
【解説】
①シュテルン➡C)輻輳説、遺伝と環境の両方が精神発達に影響を与える
②ワトソン➡A)環境優位説、学習に遺伝は関係なく、後天的に与えられた環境によって変化する
③ゲゼル➡B)成熟優位説、人は適切な成熟を待たなければ、教育や訓練の効果はない