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MSW(医療ソーシャルワーカー)はなぜ国家資格ではないのか?!前編

お悩み相談室

【お悩み相談室】2024年3月30日に公開されました、カリスマ先生のご講義の前編の紹介です。

日本で最初の職能団体「MSW協会

 日本で最初の職能団体として、MSW協会(日本医療社会事業家協会)が1953年(S28)に設立されました。その後、2007年に倫理綱領が制定され、2021年(R3)日本社会ソーシャルワーカー協会に名称変更されました。

➡「浅賀ふさ」MSW協会の初代会長! 国家試験に出ます!

 米シモンズ大学で社会事業を学び、米国で初めて医療社会事業を導入したマサチューセッツ総合病院のキャボット医師の影響を受け、帰国後、聖ルカ病院(1901年開設)医療社会事業部に勤務された、日本で最初の医療ソーシャルワーカーです。

➡国際ソーシャルワーカー連盟IFSW加盟4団体の設立年

 ①1953年 MSW(医療福祉士)協会、②1960年 SW(日本ソーシャルワーカー)協会、③1964年 PSW(精神保健福祉士)協会、④1993年 日本社会福祉士会

➡1986年 厚生大臣が、医療福祉系国家資格創設を提言

 当時、日本では福祉系の国家資格といえば「社会福祉主事」もしくは「保母」しかなく、これではいけないと、1986年に厚生大臣が「医療福祉系国家資格創設」を提言しました。世界的な流れとしては、古く1929年ミルフォード会議において「ソーシャルワーカーはジェネラリストである」という提言が既にあり、世界的には、ケースワークやグループワークコミュニティーワーク等の専門的な(スペシフィックな)考え方から、ジェネラリスト(総合的、幅広い)であるとの提言がなされ統合化の方向性が示されていました。

1957年「ソーシャルワークは既に専門職である」by グリーンウッド

 これまでのソーシャルワークについては、1915年の全米慈善矯正事業会議で、フレックスナーが「現段階でソーシャルワークは専門職に該当しない」とした提言を講演しました。その当時は、ケースワークやグループワークが専門的な技術として研鑽される一方で、ソーシャルワークは体系的理論がない、個人的な責任を伴う、実践的でない、などの考えから専門職として認められていませんでした。その考えに対し、グリーンウッドは専門職である事を提言しています。(詳しくはリンクから)

➡日本でのジェネラリストソーシャルワーク誕生の流れ

 1986年の提言を受けて、日本でもジェネラリストソーシャルワークとしての担い手が誕生します。これまで、個別に体系化されていた、MSW協会、SW協会、PSW協会が総合的に統合され「社会福祉士」として国家資格化されました。同時に保母などの介護の専門職も「介護福祉士」として国家資格化されました。1987年、ここに「社会福祉士及び介護福祉士法」が成立し、その後、日本は急速な高齢化が進み、1989年のゴールドプラン策定へと突入して行きます。

➡ソーシャルワーカー(MSW)は必要ではない?

 上記、ソーシャルワークがジェネラリスト化する中で、医療に特化した相談支援専門職である「MSW」の役割は薄れ、国家資格候補から外れていきました。それがMSWが国家資格にならなかった所以でした。

➡過去問【第27回 問題75】解説

医療ソーシャルワーカーの職能としての発展についての問題。チョー難問。解けないのは、当たり前。浅賀ふさとか、日本医療社会事業家協会とかは覚えおいた方が良いですね。

【選択肢】1 第二次世界大戦前に、聖ルカ国際病院の前身病院の医療事業部に医療ソーシャルワーカーとして「清水利子」が採用された。

【選択肢】2 第二次世界大戦後に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)指導の下、モデル保健所として初めて専任の「医療社会事業係」が配置されたのは板橋保健所である。

【選択肢】3 1953年(S28)に、日本社会事業家協会が設立されたことにより、日本における全国的な医療ソーシャルワーカーの職能団体が立ち上がった。

【選択肢】4 医療機関が社会福祉士養成課程における実習施設等の範囲に含められたのは、社会福祉士及び介護福祉士法が成立した時からである。

【選択肢】5 診療報酬改定により、初めて社会福祉士が診療報酬上に位置づけられるようになったのは1992年(H4)からである。

➡1の「浅賀ふさ」は覚えて下さい。清水利子は知らなくても大丈夫です。

➡2の板橋診療所も知らなくて大丈夫。正解は杉並保健所。どっちも知りません。大丈夫。

➡4の医療機関が実習施設等に含まれたのは、2006年。1987年の法制定当初は医療機関は対象外でした。2006年は覚えなくて大丈夫。比較的最近の話しなんだ・・・で十分。

➡5退院支援加算は2008年の診療報酬改定において、社会福祉士が行う退院支援が急性期病棟退院調整加算という形で点数評価されました。こちらも、比較的最近である事は知ってれば大丈夫。

解説】正解は【3】でした。この問題の解答のカギは「浅賀ふさ」と「日本社会事業家協会」の二つの単語。医療ソーシャルワーカーの歴史として知っておきたいのは人物と設立。これ以上の重要な知識は社福に必要ないと思います。医療ソーシャルワーカーとして一番貢献した人物。それが「浅田ふさ」。最初の設立は「日本医療社会事業家協会」何よりもMSW協会の前身が出来ていた事ですかね。

➡医療ソーシャルワーカーとは何たるものぞ?

 現役13年、医療ソーシャルワーカーの登場。丁寧なスライドを提供頂く。医療機関で働いているい医療機関をMSW(メディカルソーシャルワーカー)と言います。保険医療機関において、患者や家族のニーズを見つけ出し、問題の解決を図るため、関係機関や医療機関との調整・連携を行う仕事です。

➡利用者を取り巻く関係機関との連絡・調整はソーシャルワーカーとしての専門職としての仕事

 主に、病院での入院相談や退院時支援、療養中のニーズの発掘と解決、地域社会への社会復帰の促進を援助します。病院は身体を治療する場だけでなく、心の不安や心配を解決する場でもあるため、患者がスムーズに退院し、社会復帰できるようにMSWが支援します。

 MSWは通常、医療機関内の地域連携室や地域相談室と呼ばれる部署に所属し、入院されている患者の状態を把握されたり、医師や看護師、リハビリと連携しながら退院に向けてのカンファレンスを開催したり、入院患者の面接を行い入退院の調整を行っています。また、自宅に戻ってからの医療体制構築の為、在宅医療の普及にも努めています。

➡医療ソーシャルワーカーの仕事と役割?

1)医療中の心理的・社会的問題の解決、調整の援助・・・入退院の調整、外来患者や家族からの相談に応じ、問題の解決を図る。退院後の在宅生活を整備し、在宅にて受ける事のできるサービスの調整や情報の提供を行う。

2)退院援助・・・医療機関からの退院後の生活を共に考え、退院後に必要であれば関係機関と連携し、退院時支援を行う。高齢者の場合は介護保険制度を活用する方が多くスムーズに介護サービスが受けれる様に支援します。

3)社会復帰援助・・・退院後スムーズに社会復帰が出来る様に支援する。入退院支援加算、病院看護師や社会福祉士を相談支援に配置する事で病院側で加算が算定でき、社会福祉士資格を持つMSWを配置する事でのメリットがあります。

4)受診・受療援助・・・受診や受療の補助を行い、生活と身体状況に合った医療について説明をする。病院が提供している様々な支援体制を患者に対して提供し、リハビリやアルコール依存症の会、糖尿病指導などの参加を促す。

5)経済的問題の解決、調整援助・・・医療費や生活費に悩んでいる方に、福祉の援助や保護などの諸制度を活用し不安を除く。

6)地域活動・・・患者のニーズに合ったシステム作り、地域福祉の促進など。地域ケア会議に参加し、保健医療の立場からネットワーク作りの促進を促す事もある。

➡在宅医療の普及活動

地域支援事業の包括的支援事業にある「在宅医療・介護連携推進事業」のモデル病院で、在宅医療の普及活動を行っている。リンクはカリスマ先生のブログ記事です。

➡過去問【第29回 問題131】解説

介護保険制度の地域支援事業における包括的支援事業に関す次の記述のうち、正しい解答を選びなさい。

【選択肢】1 総合相談支援業務では、日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用する為の支援等が行われる。

【選択肢】2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、地域内の要介護者などやその家族に対し、日常的な介護予防に関する個人指導や相談などが実施される。

【選択肢】3 在宅利用・介護連携推進事業では、高齢者等が医療機関を退院する際、必要に応じ、医療関係者と介護関係者の連携の連携の調整や相互の紹介などが行われる。

【選択肢】4 生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として、地域ケア会議が設置される。

【選択肢】5 認知症総合支援事業では、民生委員や地域ボランティアによる認知症初期集中チームが設置される。

➡1は、問題にわざわざ「権利擁護を目的とするサービス」とあるので、考えず権利擁護事業ですね。

➡2も、一見間違い易いいんですが「継続的・包括的」って言葉がややこしいだけで、その後の「ケアマネジメント支援業務」が大事です。つまり、ケアマネジメントする人への支援の事。一般事業所で働くケアマネさんの支援等の事です。「私、ケアマネなんですがー、利用者の事について相談したいんですけどー」なんて。

➡4は「地域ケア会議」ってこんな内容じゃなかった気がするな・・・と間違い臭いのは分かるんですが、生活支援体制整備事業で設置されるのは「協議体」でした。どっちみち間違いと分かったからいいんじゃないの?と思わずに、生活支援体制整備事業は「協議体が設置される」と覚えましょう。

➡5、試験によく出る「認知症初期集中支援チーム」いい加減、覚えたいところ。認知症の方の退院時の社会復帰や日常生活を支援する専門職チーム。それはそれは、とんでもなく高い専門性を持ったエージェントチームの事。ボランティアや民生委員、認知症ケア専門員などの入る余地はありません。とにかくスーパー・エージェント・チームです。

解説】正解は【3】でした。この設問がまさにMSWとの連携に関わる内容だと思います。介護保険制度における、地域包括支援センターが行う地域支援事業の中に「在宅利用・介護連携推進事業」があります。

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