問題①【高次脳機能障害】
Aさん(35歳、男性)は、交通事故による頭部外傷後、リハビリテーション病院に入院中である。身体的な麻痺はほとんどないが、「新しいことが覚えられない」「些細なことで激昂する」「作業を指示しても途中でぼーっとして進まない」といった症状が見られる。退院に向け専門職が判断する支援方針として、適切なものを2つ選びなさい。
1)身体的麻痺がないため、事故前と同じ職種への早期復帰を最優先の目標とする。
2)遂行機能障害に対しては、メモリーノートの活用や手順の図式化などの環境調整を検討する。
3)社会的行動障害に対しては、刺激の少ない環境を整え、パニック時の対応を家族と共有する。
4)記憶障害を改善させるため、環境調整や代償手段などの獲得を優先し、脳の可塑性を引き出す様なリハビリは、行わない様にする。
5)Aさんの自覚(病識)が乏しい場合は、エラーレスなリハビリを積極的に行わず、何度も現状を繰り返すリハビリを優先する。
問題②【筋萎縮性側索硬化症(ALS)】
Bさん(60歳、女性)は、ALSと診断され、意志はしっかりしているものの、徐々に四肢の筋力低下と構音障害が進行している。現在は自力歩行が可能だが、将来的な呼吸不全や嚥下障害の可能性について医師から説明を受けた。Bさんの意思決定支援として、適切なものを2つ選びなさい。
1)症状が進行してからでは遅いため、キーパーソンと相談し胃ろうの造設等を検討する。
2)人工呼吸器の装着など、将来の選択肢について繰り返し意向を確認する為に、人生会議を行う。
3)構音障害が悪化した場合に備え、補聴器の選定や点字、手話などのコミュニケーション手段を獲得する様に作業療法士等に伝える。
4)筋力を維持する目的で行う、痛みや疲労を伴うような、継続的な筋力トレーニングは避ける様に説明をする。
5)精神的なショックを和らげるため、将来、人工呼吸器の装着や胃ろう増設、筋力低下などがおきると事は、状況が理解できるまで患者への説明は控える。
問題③【脳血管障害(高次脳機能障害の複合)】
Dさん(68歳、女性)は、右脳の広範囲な脳梗塞により、左片麻痺、左半側空間無視、失認がある。リハビリ中のDさんは「私はどこも悪くないから帰る」と車椅子から立ち上がろうとし、転倒のリスクが高い。この状況への対応として、適切なものを2つ選びなさい。
1)左側の「視野そのものが欠けている」ため、食事の際にトレーの左側を意識したリハビリを行っても、視野の回復や生活の支障を減らすことは難しい。
2)左半側空間無視を補うため、Dさんの右側から声をかけたり、認識しやすい右側に物を置く工夫をする。
3)転落防止のため、本人の許可をとった上で、やむを得ずベッドに4点柵を設置する事も、一般的には身体拘束に当てはまる。
4)「失認」がある為、手すりと車椅子などの位置関係は認識できているが、立ち上がる際に上手く持つ事ができず、危険な行動になってしまう事を理解する。
5)患者本人の生命に重大な危険が及ぶ場合に限り、やむをえず身体拘束を行う場合は、切迫性、非交互性、一時性の3点を考慮する。
問題④【パーキンソン病の進行期(難病)】
Eさん(70歳、男性)は、パーキンソン病が進行し「ウェアリング・オフ現象」に悩まされ活動量が低下してきている。また、時折「部屋の隅に子供がいる」「布団に毛虫が沢山ついている」などといった幻視の様な症状を訴えるようになった。Eさんへの支援上の留意点として、適切と思われるものを1つ選びなさい。
1)幻視に対しては軽はずみに同調せず「部屋に子供は来ないので、安心して下さいね」と否定し、少しづつ現実を直視させていく。
2)「ウェアリング・オフ現象」が確認された時間帯は、生活スケジュール(入浴やリハビリの時間)を調整し、積極的に活動する時間に充てるなどの計画を立てる。
3)パーキンソン病による動作緩慢や、姿勢保持障害などの、運動性症状の他に、夜間頻尿や立ちくらみなどの、非動作性障害も見られる。
4)歩行時のすくみ足は典型的なパーキンソン症状である為、車椅子での生活を基本とし、安全の確保を一番に優先する。
5)便秘そのものは、パーキンソン病とは直接的には関係が無いため、パーキンソンイズムに対する治療を優先する。
問題⑤【脳卒中と嚥下障害】
Aさん(82歳、女性)は脳梗塞の後遺症で右片麻痺がある。退院を目前に控えているが、食事中にむせ込むことが増え、誤嚥性肺炎のリスクが指摘されている。家族は「もう80歳も越えているので、好きなものを食べさせてあげたい」と希望している。この状況での医療ソーシャルワーカーの支援として、適切なものを2つ選びなさい。
1)家族の自己決定権と自己責任を尊重し、退院後は家族の責任において好きなものを摂取するよう勧め、その旨を診療録に記載する。
2)言語聴覚士(ST)や管理栄養士と連携し、好物の味を活かしつつ、Aさんの嚥下機能に適合した形態や調理法の代替案を家族に説明する。
3)誤嚥性肺炎のリスクを回避することを最優先し、家族の希望であっても、医師が処方した食事形態(嚥下食)以外は摂取しないよう指導する。
4)右片麻痺の影響を考慮し、食事の際の適切なポジショニングや、一口量の調節といった誤嚥リスクを低減させる具体的な介助技術を、専門職と一緒に伝達する。
5)「好きなものを食べたい」というAさん本人の意向が不明確であるため、認知機能評価を優先し、本人の意思が確認できるまで食事制限を継続する。
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【問題6:心身症・摂食障害】
Bさん(20歳、女性)は、極端な食事制限と活動量の増加により、標準体重を大きく下回っているが、本人は「まだ太っている」と主張している。無月経や低血圧も見られる。この状況での介入として、適切なものを2つ選びなさい。
1)生命の危険がある低体重(BMIの著しい低下)の場合は、まず身体的治療を最優先する。
2)歪んだボディイメージを修正するため、本人に対して鏡を見せて厳しく説教を行う。
3)栄養摂取を促す際、本人の強いこだわりや不安があることを理解し、段階的な目標を設定する。
4)本人が「食べたくない」と言っている間は、本人の自己決定を尊重して一切干渉しない。
5)精神的な問題であるため、内科的な血液検査や心電図検査は不要であると判断する。
【問題7:脊髄損傷と社会復帰】
Cさん(30歳、男性)は、スノーボード中の事故で第12胸髄を損傷(T12機能残存)し、下半身不随となった。リハビリを終え、車椅子で元の職場(デスクワーク)への復帰を目指している。就労支援の視点として、適切なものを2つ選びなさい。
1)T12損傷は上肢の機能が保たれているため、職場での特別なバリアフリー対応は不要である。
2)長時間の座り仕事になるため、褥瘡予防のためのクッション選択や除圧動作(プッシュアップ)の習慣化を確認する。
3)排尿障害(尿意の消失)に対して、自己導尿のスケジュール管理や職場でのプライバシー確保を検討する。
4)身体的負担を考慮し、本人の希望に関わらず、まずは短時間のアルバイトから始めるよう強制する。
5)脊髄損傷後の心理的葛藤は数ヶ月で解消するため、メンタルヘルスへの配慮は不要である。
【問題8:肝疾患とアルコール依存】
Dさん(52歳、男性)は、アルコール性肝硬変と診断され、腹水や黄疸が出現している。医師から断酒を命じられているが、隠れて飲酒を繰り返している。相談を受けたソーシャルワーカーの対応として、適切なものを2つ選びなさい。
1)飲酒を続けると命に関わることを強く叱責し、本人の意思の弱さを厳しく追及する。
2)依存症は「脳の病気」であることを踏まえ、断酒会や自助グループへの参加、専門外来との連携を検討する。
3)腹水による腹部膨満感や倦怠感があるため、日常生活動作(ADL)の負担軽減に向けた環境調整を行う。
4)本人が嘘をついて飲むため、家族に対して「24時間体制で見張る」ように指示する。
5)肝硬変が進行しているため、高タンパク・高脂肪の食事を積極的に摂るよう助言する。
【問題9:廃用症候群と多職種連携】
Eさん(88歳、男性)は、肺炎で2週間入院し、安静を強いられたことで、歩行困難と認知機能の低下が見られるようになった。退院支援において、生活機能を回復させるためのアプローチとして、適切なものを2つ選びなさい。
1)「安静第一」を退院後も継続し、できるだけベッドから動かさないように家族に指導する。
2)リハビリ職やケアマネジャーと会議を持ち、ADL(食事・更衣等)の中で本人ができる動作を維持・活用する方針を立てる。
3)認知機能の低下を「年相応の認知症」と決めつけ、積極的な離床や働きかけを諦める。
4)低栄養が筋肉量減少(サルコペニア)を加速させるため、管理栄養士と連携して食事内容を見直す。
5)住宅改修(手すり設置等)は、本人の身体機能が完全に回復するまで一切行わない。
問 正解 解説
6 2, 4 2:専門職(ST)による食形態の評価は必須。4:口腔内の清潔は誤嚥性肺炎予防の基本。1:リスク管理を怠ることは不適切。3:多職種での検討と本人同意が前提であり、強制は不可。
7 1, 3 1:摂食障害は低カリウム血症や心停止のリスクがあるため、生命維持が最優先。3:心理的サポートと段階的アプローチが重要。2:説教は信頼関係を損なう。5:内科的合併症の把握は必須。
8 2, 3 2:脊損患者にとって褥瘡は命取りになるため、除圧は重要。3:自己導尿の管理と環境整備は就労継続の鍵。1:車椅子利用のための通路確保やトイレの改修は必要。5:心理的受容には時間がかかる。
9 2, 3 2:依存症は根性論ではなく治療が必要な疾患。3:肝硬変の身体症状(腹水等)への配慮も重要。1:叱責は孤立を招く。4:家族の共依存や疲弊を防ぐ視点が必要。5:肝硬変ではタンパク質制限が必要な場合がある。
10 2, 4 2:生活リハビリの視点が重要。4:栄養と運動の両輪で廃用を防ぐ。1:過度な安静(安静の害)が廃用を招いた原因。3:廃用による一過性の認知機能低下は改善の可能性がある。5:安全な環境を先に整えるべき。
